専門に進む方は、1日に何時間も練習するので、今から書くお話は少し当てはまらない部分があります。
これから書くお話は、
「うちの子はピアノを言っても言っても練習しません。」
というお悩みや、
「練習しないならやめちゃいなさい」
など、つい口にしたくなってしまう保護者の方に向けたお話です。
ピアノを家のどこに置くか、それはご家族の構成によっても違いますが、私が生徒さんから聞いたお話や私の経験や統計的見地からも、“家族が集まる場所”、“おかあさんが居る場所”に置くのをオススメします。
子ども部屋を持っている子でも、ひとりではなかなか自分の部屋に足が向きません。学校から帰ったらランドセルをリビングに置いたまま、遊びに行ったり、宿題をするのもリビング、それは家族、特におかあさんが見える場所です。
リビングはみんながいるので安心、居心地が良い空間です。
ピアノは音も大きいので、家族がテレビを見ている時など、邪魔にされてしまうこともあります。
私が子どもの時は、ピアノの真上に兄の部屋があり、試験前などは「勉強の邪魔!」と言われ、試験が終わるまでの何日間か、兄がいる時間は練習を我慢させられたこともありました。
ですから、練習には家族の協力が必要です。家族に対する配慮も必要です。
いつも上手に通して弾けるわけではないので、同じところを何度も繰り返し聞かされたり、練習している本人も聞かされている家族も忍耐が必要ですね。
目を閉じれば、見たくないものを見ることはありませんし、鼻をつまめば苦手な香りは回避できます。でも音は、いくら耳を塞いでも身体や骨に響いて聞こえてしまいます。無音にすることは、特別な装置にでも入らない限り叶いません。音は周りに迷惑をかけるものなので、自由に楽しく楽器を弾くには、時間を決めるなど、工夫が必要です。
お子さんがピアノに向かっている時は、横にぴったりついて、レッスンで受けたアドバイスを横で話してあげることも大切ですし、その反対に、「わからないところは聞いてね」と言って、自由に弾かせてあげることもとても大切です。
ピアノで遊ぶと、ステキな響きを発見したりします。そんな時はすかさず、今の音イイね、と言って録音してあげたり。
(私はレッスン中に生徒さんが偶然出したステキな音をノートにメモしておきます。ステキね!と伝えると、うれしく感じるようで、そこからいろんな音をさがしています。このメモをストックして創作に役立てたりしています。)
ピアノを通して、家族のコミュニケーションがとれますし、ますますピアノの音色が身近なものになるかと思います。